連載ブラフ入門 第2回 (2/3)|ブラフのハンドセレクション

第1回では数学的な観点からブラフの理論を説明し、適切なブラフ頻度について解説しました。今回はブラフのためのハンドセレクションについて解説していきます。

リバーでのベットは、強いハンドでのバリューベット(言うまでもないですね)と、最弱のハンドでのブラフベットに分かれます。最弱(ハンドの強さ以外の全ての要素が等しいと仮定する)のハンドと言っても72oをレンジに入れておかなくてはならないわけではありません。前のストリートのアクションを経て生き残ったハンドが今の自分のレンジを構成しているはずです。そのレンジの中の最弱のハンドでブラフするということです。なぜでしょうか?

「中程度の強さのハンド」でブラフしないのはなぜ?

「中程度の強さのハンド」はブラフで無駄にするのではなくチェックコールしたいのです。これらのハンドはバリューベットするほど強くはありませんが、相手のバリューベットレンジの一部には勝っているかもしれません(もしくは、相手のブラフをインデュースできればショウダウンでポットを獲ることもできます)。

「マージナルハンド」でブラフしないのはなぜ?

さて、「中程度の強さのハンド」がバリューベットするには弱すぎるけど、チェックコールすればショウダウンで勝てるかもしれないハンドということはお分かりいただけたと思います。では、これより若干弱いハンドはどうでしょうか?「中程度の強さのハンド」よりも弱いハンドを私は「マージナルハンド」と呼んでいます。「マージナルハンド」はチェックコールするにも弱すぎるのです。しかし「マージナルハンド」はブラフには不向きです。なぜでしょうか?

「マージナルハンド」はチェックフォールドするハンドだからです。ブラフをするのはそれよりもさらに弱いハンドなのです。直感に反するかもしれませんが、「マージナルハンド」は相手がリバーをチェックバックした場合にショウダウンで勝つこともあるのです。バリューがある以上、「マージナルハンド」をブラフで無駄にするわけにはいきません。

最弱のハンドの使いみち

リバーのブラフに使いたいのは「最弱のハンド(ハンドの強さ以外の全ての要素が等しいと仮定する)」です。これらのハンドは弱すぎてチェックコールどころか、チェックチェックでもショウダウンで勝つことができません。このように、ブラフしかポットを獲る手段がない場合にブラフハンドの候補になりうるのです。

さて、これまでに「ハンドの強さ以外の全ての要素が等しいと仮定する」という表現が2回登場したのにお気づきでしょうか?このような回りくどい表現をしたのには理由があります。それは、実際のポーカーではこれまで説明したハンドの分類に例外があるということです。それを理解するためには、ブロッカーについて説明しなくてはなりません。

最弱ハンド以外でブラフをするのはどんなとき?

ときには、自分のハンドレンジ内に良いブロッカー付きの「マージナルハンド」と、ブロッカーのない「最弱のハンド」が見つかることがあります。例えば以下の状況を想像してください。完成せずにリバーまで辿り着いてしまったストレートドローがレンジの中にあるとします。リバーボードは次の5枚です。

具体的にどのようにしてこのリバーまで辿り着いたのかはここでは説明しませんが、 を持っているとしましょう。これまで説明した理論に基づくと、「最弱のハンド」である でブラフして、チェックコールでショウダウンを勝てそうなAハイの「マージナルハンド」である はチェックコールすべきでしょう。

しかしこの特定の状況においては、私だったら でブラフすると思います。なぜなら、 を抑えていることで相手のナッツフラッシュをブロックし、コールされにくくなるからです。どのみちAハイがショウダウンで勝てなそうな状況である場合はなおさらです。

最終回では、これらをより実践的な視点で解説していきます。

著者:スティーブ・ブレイ
翻訳元の記事:Bluffing, Part 2

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