連載ブラフ入門 第1回 (1/3)|ブラフとGTO

この連載で解説すること

6回にわたるドローについての連載をようやく書き終えましたので(※訳注:ドローの連載も近日公開予定)、今度はブラフとセミブラフについての連載を書いていきたいと思います。ブラフというのは実に複雑なトピックで、この連載で全てを網羅することは到底できそうにありません。今回はブラフに関連するよくあるミスプレイにフォーカスして解説していきます。

第1回は、ブラフに関する数学の概要を紹介します。第2回では、どのようなハンドがブラフに適しているかを解説します。最終回では、実戦で使える応用をわかりやすい例を用いて説明します。準備ができたら早速始めましょう!

GTOの考え方

まずはGTOの観点からブラフを見てみましょう。世の中のポーカーコーチたちは「ブラフ頻度はどれくらいにすべきか?」という質問を何度も聞かれていることでしょう。この質問に応えるためには、まずは相手をブラフキャッチに対して無差別にするというGTOの考え方を理解しなければなりません。

「相手をブラフキャッチに対して無差別にする」とは一体どういうことなのでしょうか?これはつまり、相手がブラフキャッチをしようとしなかろうと、相手にとっての儲け(または損失)が同じになるということです。それは、相手はどんなアクションを取ろうと自分の運命を変えることができないという状態なのです。

そんなことが本当にできるのだろうかと疑問に思われるかもしれません。答えは「できる」です。例を見ながら説明していきましょう。

GTOのブラフ頻度はこう決まる

ポットが$100のリバーを想像してください。そしてポットサイズベット($100)をすることにしたとしましょう。さて、適切なブラフ頻度はいくつでしょうか?

相手の立場に立って考えてみましょう。ポットには$200入っていて(こちらのポットサイズベットも含みます)、ブラフキャッチをするには$100のリスクを取らなくてはなりません。ブラフキャッチが成功すれば$200が手に入ります。つまり、3回に1回ポットを取ることができればブレークイーブンになるということです。言い換えれば、$200の勝ちを1回、$100の負けを2回で、合計3回の結果はトントンになるということです。したがって、こちらは3回に1回ブラフをすれば、相手はブレークイーブンになるのです。相手がどんな頻度でブラフキャッチをしようと、長い目で見れば相手は必ずブレークイーブンになります。

もう少し詳しく説明するために、相手が中程度の強さのハンド(たとえばリバーまでに向上しなかったミドルポケットペア)でブラフキャッチをする場面を想定します。こちらが強いハンド(セットやトップペア)を持っているときは、相手はブラフキャッチに失敗して$100を失います。そして、3回中2回はこちらのハンドはそのような強いハンドなので、相手は3回のブラフキャッチで合計$200失うことになります。しかし、3回中1回はこちらはブラフをしているので、相手はブラフキャッチを成功させ$200手に入れることになります。こうして彼は結局トントンになるのです。

このように、GTO戦略をプレイするなら、ポットサイズのリバーベットは3回に1回ブラフが混ざってなければなりません。では、ポットサイズではなく、1/2ポット($50)のベットの場合はどうでしょうか?この場合、ポットには$150あり相手がコールするのに必要な額は$50ですので、強いハンドとブラフの割合は3:1になります。ご理解いただけましたか?

以上がGTOの観点で見た適切なブラフ頻度です。プレミアムハンドを持っているときにリバーでポットサイズのバリューベットを打つとしたら、その半分の頻度でブラフもしてなくてはなりません。でなければGTO的にはブラフが足りないということになるのです。

フロップとターンのブラフ頻度

今回はリバーでのピュアブラフを例に解説してきました。今回の記事で解説することはできませんでしたが、ターンではさらに高い頻度でブラフしていくことになります。そしてフロップではそれよりもさらに高い頻度になります!その主な理由は、フロップとターンでのブラフは、ほとんど全ての場合いくらかのエクイティを保持していて実質的にセミブラフになるからです(一方、リバーのブラフはエクイティのないピュアブラフです)。このように、フロップとターンのブラフはピュアブラフではないので、バリューレンジとのバランスを取るためにより多くのコンボ数が必要になるのです。全体を網羅して数学的にきちんと説明できたわけではありませんが、フロップとターンではより高い頻度でブラフしなくてはならないということがなんとなくお分かりいただけたと思います。実際には、フロップではバリューベットよりもはるかに高い頻度でブラフすべきです。GTOでは、フロップのセミブラフとバリューベットの割合は2:1以上になることが多いのですが、多くのプレイヤーはセミブラフを十分な頻度でベットできていません。

さて、以上が簡単なブラフに関する数学の概要でした。第2回ではブラフをするときのハンドセレクションについて解説していきます。

著者:スティーブ・ブレイ
翻訳元の記事:Bluffing, Part 1

関連記事