ポーカーアドベントカレンダー2025 20日目|Gaku|「range%思考」のすすめ
この記事の目次
はじめに
こんにちは。Gaku(@gaku_btn)です。
ポーカー歴は12年で、もともとは欧州でCash Gameをプレーしていましたが、最近は日本やアジアでMTTを中心にプレーしています。
MTTの座学に関しては多くの英語コンテンツが存在しますが、あまり日本では浸透していなかったのでそういった記事をピックアップしたり、個人的に気になって調べたスポットについて備忘がてら発信してきました。
そんな僕を「ポーカーアドベントカレンダー 2025(20日目)」の著者として選んでいただいたので、初心者のMTTプレーヤー向けに「range%思考」というコンセプトを紹介したいと思います。
range%とは?
突然ですが、みなさんにクイズです。

これは僕が適当に手で作成したレンジ表です。赤がopen、青がfoldです。
このレンジ表通りにopenするとopen頻度はいったい何%になるでしょう?
A: 20% B: 25% C: 30% D: 35%
こんなこと考えたこともない、という人も一度当てずっぽうで良いので予想してみて下さい。表のぱっと見の面積から見積もってもOKです。
正解は…
A: 20% です。
それではつづいてのクイズです。

先ほどと同じように、このレンジ表通りにopenするときのopen頻度を考えてみて下さい。
A: 3% B: 5% C: 7% D: 10%
今回は見てわかる通り、明らかに先ほどよりは頻度が低そうです。
正解は…
B: 5% です。
このように、特定のレンジが全体レンジに占める割合のことをrange%と呼んでいます。レンジの広さを数値化したもの、と言い換えることもできます。
ここまでのみなさんのrange%の感覚はズレていましたか?それとも正確でしたか?
では、最後に応用問題です。
UTGから左側のレンジ表の通りに2bb openして、BBから20bbの3bet all-inされたときに右側のレンジ表通りにcallする人がいたとします。
そのUTGは、2bb openしたハンドのうち、何%のハンドでcallするでしょう?
お気づきの方もいるかもしれませんが、これら2つのレンジ表は前に出てきた2つのレンジ表と完全に一致しています。
それを踏まえると正解は…
5% ÷ 20% = 25% です。
少し混乱した人もいるかもしれませんが、少しかみ砕くと「openしたレンジを基準としたときに、その中で3bet all-inにもcallするハンドの割合は何%になるか?」ということです。これは緑の部分が赤の部分に占める割合に相当します。
つまり、「このUTG相手にはBBから20bbの3bet all-inをすると4回に1回callされ、4回に3回foldさせることができる」ということがわかります。この場合、fold to 3betが75%と捉えることもできます。今回は3bet all-inなので一般的に使われるfold to 3betと完全に一致はしませんが、相手のレンジ構成を見積もる上では重要な指標です。
いずれにせよ、これはUTGのopen%とcall%を知っていれば解ける問題でした。
range%思考のステップ
MTTの座学で最も重要なのはPreflopレンジです。MTTはCash Gameよりもプレーする際のEffective Stackが浅く、Preflopでall-inという選択肢が追加されることで戦略の分岐が増え、それぞれの分岐に対するハンドの割り振りなどの複雑性が増すことが一つの要因です。
変数の異なるさまざまなスポットで13 x 13のレンジ表を隅から隅まで丸暗記するのは現実的ではありません。複雑なものを複雑なまま頭に入れようとすると、パンクしてしまいます。
そんなとき、多くの情報が詰まったレンジ表を単一の数値、すなわちrange%に置き換えることが近道になるケースがあります。

range%というシンプルな1つの数値であれば比較・検証が容易ですし、複雑な情報が詰まったスポットでもその解像度を上げることが可能になります。
では実際に、どのようにrange%を使うのか、ステップに分けて紹介します。
Step1. 基準となるレンジ&range%を暗記する
暗記量を減らしたい、ということを前述しましたが、最低限の暗記は必要です。その時に僕がオススメしているのが、GTO WizardのMTT – ChipEV(=トナメ開始直後) – 30bb Effective のopenレンジです。これを基準レンジとして丸暗記しておくと、その後の学習に使いやすいので覚えておいて損はないと思います。
UTG〜BTNのそれぞれのopen%は以下の通りです。
| UTG | UTG1 | LJ | HJ | CO | BTN | |
| open% | 19% | 21.9% | 25.3% | 29.6% | 37.2% | 48.8% |
このままだとちょっと数値が細かいので、少し丸めてざっくり以下のように覚えています。

全てを解説すると長くなるので、HJ(30%)・BTN(50%)をピックアップしてみます。
range%=30% : ChipEV – HJ open%

レンジ表と30%という数値を紐づけるカギになるのは、「下限ハンド」です。レンジ表から読み取れる下限ハンド群をざっくり分類してみましょう。
suited群
- AXsは全部
- KXsは4あたり
- QXsは5あたり
- その他はX7sまで
off-suited群
- AXoは7あたり
- その他はXToまで
下限ハンドが上記を満たしていると、レンジの広さはおよそ30%になっている、ということになります。そしてそれがChipEVでのHJのopenレンジの広さになっています。
大事なのは、「HJのopenレンジはこのくらい」と考えるのではなく、「下限ハンドがXXならレンジ全体の30%くらいになる」という部分を強烈に意識することです。まずはレンジ構成と30%という数値を紐づけて認識することにフォーカスしてから、HJのopen%=30%という知識を後付けで組み合わせるイメージです。
※ なお、ポケットとスーコネの下限はスポット次第で変化が大きいので僕はあえて無視しています。
range%=50% : ChipEV – BTN open%

50%レンジは当然ながら先ほどの30%レンジよりも広くなっています。こちらも下限ハンドを性質ごとに分類してみましょう。
suited群
- AXs、KXs、QXsは全部
- JXsは3あたり
- その他はX5sまで
off-suited群
- AXoは全部
- KXoは6あたり
- その他はX8oまで
30%のレンジをざっくり2マスずつ外側に広げると50%くらいになっています。
ここから、30%レンジを1マスずつ外側に広げると40%くらい=COのopen%になっていそうだな、と類推することも可能です。
このようにして、まずは基本になるrange%をざっくり8種類くらい覚えると良いと思います。
5% – 10% – 15% – 20% – 25% – 30% – 40% – 50%
後半の5つは↑のChipEVレンジから参照することができます。
Step2. 色んなスポットの均衡でのrange%をインプットする
レンジの形とrange%の相互関係が定着したら、今度はGTO WizardのICM Solutionでさまざまなスポットのrange%を確認します。MTTでは同じポジションでもシチュエーションやスタック量の配分次第でPreflopのレンジは大きく様変わりします。それを確認する中で色々感じるものがあるはずです。
例えば、以下のようなシチュエーション。
1000人参加・残り2人でインマネ・Avg. 30bbという状況で、あなたはテーブルチップリの50bbを持ってUTG1に座っていると仮定します。
その時のopen%はどれくらいになるでしょう?
ちなみにChipEV(トナメの序盤)だと22%くらいです。
GTO Wizardを見てみると…

均衡でのUTG1のopen%は34.9%でした!(画像右側の黄色枠)
UTG1なのにかなり広いな!ということがわかります。ChipEVではUTG1のopen%=22%なので、約1.5倍。ChipEVのHJ~COのopen%くらいの広さということですね。
Bubble付近ではディープスタックがミドル・ショートスタックにプレッシャーを与えることができるため、このような極端なレンジ拡張が可能になっているのでしょう。
ここで大事なのは、こういった特定のスポットでのopenレンジの再現度を高めようとする前に、range%を高精度で言い当てることができるようになるか、を意識するということです。
このスポットでのopen%が35%であることを言い当てることができるようになれば、Step1で定着させたレンジ↔range%の変換によって「35%ってことは~~が下限になってるレンジか!」という風にレンジの暗記プロセスをスキップして精度の高いレンジを構築できるようになるはずです。
これが変数を減らし、暗記量を減らすプロセスにつながります。
では、全く別のシチュエーションを見てみましょう。
今度は全く状況が変わり、Final Tableの残り3人という状況です。
ここであなたは64bbのチップリーダーで、BTNに座っています。
つい先ほどのスポットを踏まえると、「チップを多く持っているとショートにプレッシャーを与えることができるので、ChipEVのopen%よりも大きくなっていそう?」という推測ができるかもしれませんね。
ChipEVでのBTNのopen%は50%程度でしたから、今回のスポットではBTNのopen%は60~70%程度まで広がっているのでしょうか…?
GTO Wizardを見てみると…

均衡でのBTNのopen%は40.5%でした。(画像右側の黄色枠)
思ったよりも広くなっておらず、それどころかChipEVのBTN openよりも狭くなっています。Step1で勉強したChipEVでのHJとBTNの丁度中間くらいで、COのopen%と近い数値になっていますね。
残り3人になると、ミドルやショートにかかるプレッシャーが小さくなることもあって、チップリーダーと言えども一方的にプレッシャーをかければよいというわけでもなくなるようです。
こんな風に、range%の感覚があると、色々なソリューションを見た時のレンジの広さが「広いか狭いか」だけでなく「どれくらい広いか、どれくらい狭いか」と一段階解像度を挙げた状態でインプットできるようになります。
Step3. 実戦で相手レンジの乖離を捉える
GTO Wizardで座学しながら均衡解でのrange%の知識が少しずつ増えていくと、実戦で似たようなシチュエーションに出会った際に相手の均衡からズレたプレーを捕捉できるようになってきます。
例を挙げて見てみましょう。
とある大型大会に出場して、あなたはなんとかFinal Tableまでたどり着きました。数々のラッキー・アンラッキーを経て、気付けば残り3人。
あなたのスタックは45bbで2番目。残りの2人は65bbと15bb。まさに先ほどWizardで見た状況にかなり近いスタック分布です。しかし65bb持ちのチップリーダーはポーカーが上手そうで、着実にチップを増やしていました。
そんな時にチップリがBTNからopen。あなたはSBでゴミハンド、当然のfold。BBはdefenseして、Postflopに進みます。
ボードにはローカードが並び、Flop~Riverまでcheck-checkで進んでハンドがShowされました。するとBBのハンドは87s、BTNのハンドはT2s。どちらもボードにヒットしておらず、チップリのBTNがTハイで小さなポットを獲得しました。
ここまでこの記事を読み進めたあなたなら、このチップリのレンジは大きく均衡から逸脱していることがわかるはずです。T2sでのopenは明らかに広すぎます。
先ほど確認したICM均衡レンジ(40%)を見てみましょう。

T2sは完全にレンジ外です。惜しい!とかでもなく、かすりもしていません。それがどれほどレンジから外れているか、その度合いをつかむために、Step1で暗記した50%レンジでも確認してみます。

このレンジでもT2s(青枠)はレンジ外です。仮にT2sを含むレンジを想定すると、そのrange%は少なくとも50%を超えており、少なくとも60%程度まで到達していることが想定されます。
つまり、このチップリのBTNは「T2sでopenしていた」という情報から均衡の1.5倍程度広いopen%でレンジを構成していることが推測できるのです。
なかなか3betされないことにつけ込んで意図的にレンジを広げているのか、はたまた均衡のレンジを50~60%と誤認してしまっているのか。理由はわかりませんが、openレンジが広すぎることだけは事実です。
このとき広がったopenレンジの下限部分は刻み3betにも抵抗できない脆弱なハンドなため、ミドルスタックのあなたがこれを咎めるためにはblokerの良いハンドで刻み3betの頻度を上げて対抗するのが良さそう、と戦略をアジャストするための方針を立てやすくなります。
Step1でレンジとrange%の関係性を定着させ、Step2で様々なスポットのrange%を頭に入れておいたおかげで、実戦での相手のハンドを一目見て相手のレンジの乖離とその幅を見抜くことができるようになったわけです。
range%で考えることの意味
ここまで見てきた通り、range%を強く意識するようになると、相手のShow Downなどで得られる情報から、相手のレンジについて「ざっくりと広い/狭い」というレベルから「広さ/狭さの程度はどのくらいか」というレベルまで一段踏み込んで推定することが可能になります。前述の例で言うと、K3sでopenしているプレーヤーよりもT2sでopenしているプレーヤーの方が乖離幅が大きいことは明白で、Exploitするターゲットとしては優先度が上がります。
そうすると、こちらはよりリスクの低いスポットで過激なExploitを実行することが可能になり、結果としてポット獲得確率を上げることができます。
加えて、open%の情報にcall%(vs 3bet)の情報を加えると、相手がopenした際のこちらの3betに対する抵抗頻度を見積もることができ、スポットによってはrestealの精度を上げることが可能なりますし、逆に均衡で刻み3betが推奨されるハンドをあえて3bet all-inして相手にcallさせるといったExploitも可能になります。

range%の感覚を養うことがもたらす他の利点としては、どんな精神状態でも自分のレンジをrange%で正確に意識できるようになる、というのも挙げられます。
例えば、何度かアンラッキーが連続してポットを落としたのち、HJであなたにQ8oが配られました。BBには直前にポットを奪われたまさにその相手。何とかギャフンと言わせるため、少し広いけれどopenして勝負を挑んでやろうか。
でもそんな時、range%での学習が定着していると、HJからQ8oでopenするという行為に対して、強烈な抵抗感が芽生えます。なぜなら、Q8oはBTN openの50%レンジでも下限に相当するハンド。HJからopenするにはあまりに広すぎます。「本来30%でopenすべきところを、50%の広さでopenしようとしている」という認識が生じれば、ティルトしている自分自身にブレーキをかけることができるでしょう。
相手・自分のレンジをより正確に把握し続けるための物差しとしてrange%は機能してくれます。
GTO Wizardを用いてrange%感覚を養う
「GTO WizardでMTTの座学をするにはどうすればいい?」といった質問を受けることがありますが、僕はひたすらPrefropのレンジとrange%を確認するのに利用しています。特にrange%を把握することを強く意識して細かな機能を使っているので、いくつかその使い方を紹介します。
※ 以下は基本的にMTT – Premium Planへの課金によって利用することが可能になります。
ICM Solution

先ほどから何度も説明している通り、ICM Solutionでトナメ中の様々なスポットでのレンジを確認することは重要です。その際はレンジ表だけでなく必ず右側に表示されるrange%にも注目するようにしましょう。
Range builder


Range builderは、特定のスポットのレンジ表を塗り絵のように塗りつぶしてインプットし、それを実際の正しいレンジ表と照らし合わせて差分を特定してくれる機能です。
僕がこのモードで最も便利だと思うのは、右側にある[Hint]タブです。

このタブには左側に現在色塗り中のrange%が、右側にそのスポットの均衡でのrange%が表示されます。これで自分が塗ったレンジがどうズレているかのヒントを得ることができます。
ただし、僕はこの機能をヒントとしては使いません。ひたすらレンジ表を落書き帳のように色々な形に塗りつぶしてみて、そのときにrange%がどんな数値になるのかを確認してみるんです。
そうすると、「この形のときには25%くらいなのか!」「この形の時には5%くらいしかないんだな…」など、レンジ表の形状とrange%の細かい感覚を養うことができます。
こんな使い方はWizard側も想定していなかったと思うのですが、前述のStep1を固める意味で便利な機能なんじゃないかなと思います。
Trainer

最後は、最近一部のプレーヤーで流行っているWizardのTrainer機能です。
Trainer機能では特定のシチュエーションで特定のハンドが表示され、最適アクションを選んで正解を確認する、という流れでアクションの正確性を測定することができます。
ただし、表示された1ハンドのアクションを正解しても、それはアウトプットとしての質が低すぎます。その瞬間のrange%はどのくらいか、そのレンジの下限はどこにあって、それを踏まえると表示されているハンドのアクションはどうなるか。そこまで回答できて初めてそのスポットを理解している、と言えるでしょう。


まず、ハンドが表示されたらその瞬間のrange%を推定しましょう。その後、Trainerの右側にある電球💡マークを押すと、range%の数値が表示されるので、先ほどの推定がどれほど乖離しているかをそこで認識しましょう。


さらにそこからレンジ表の細かい構成を確認するには、[Show hero strategy] の横にある目のアイコン(👁)を押せばレンジ表が表示されます。同じrange%であっても、ポケットやスーコネが極端に削られているケースがあるため、そういった細かい形状まで確認する際にはこの機能が便利です。
ただし、このレンジ表を見てしまうと完全にネタバレになってしまうので、自分の中で回答を確定させた後に見るようにしましょう。
まとめ
ということで、今回はMTTの特にPreflopを学習する上で便利なrange%について紹介しました。
- まずは代表的なrange%とレンジ表の構成を数個丸暗記する。
- GTO Wizardなどで色々なスポットを学習する際はrange%を言い当てることを目指す。
- 実戦では、適正なrange%を推定→レンジに変換して下限ハンドを推定→相手・自分のレンジ乖離を認識する。
ポーカーの学習は終わりがなく、期待値の高い意思決定を精緻に再現するためには大量の暗記が必要となります。しかし、無機質な情報を0から100まで暗記していくのは退屈で、途方もなく思えるプロセスです。そこで、0と100の間に上手く中継地点を設けてざっくりとした戦略の大枠を捉え、70~80を再現することを目指すことから始めれば、暗記量も少なく済みますし、複数のスポットを横断的に比較して共通項を見つけたり、相違点を認識することが容易になります。

今回はrange%という中継地点を紹介しましたが、あくまで一例に過ぎません。例えばCash Gameであれば、集合分析やトイゲームがそれに相当するでしょう。MTTで他の中継地点を見つけることができるかもしれません。
そんな風に「この膨大な戦略を再現するために、どんな工夫ができるだろう?」と考えるそのプロセス自体も楽しめるようになると、よりポーカーというゲームを楽しめるんじゃないでしょうか。
おわりに
最後に、自分のポーカーとの向き合い方を紹介して終わろうと思います。
最近、ポーカーを始めて間もない知人からこんなことを聞かれました。
「アミューズのトナメに出ていたら、常連のお客さんからアクションについてあれこれ嫌味を言われたんですが、どうしたらいいでしょうか?」
僕もアミューズに通い始めた7~8年くらい前に同じような経験をしました。
そのお店には何人かポーカーが上手そうな常連さんがいて、いつも仲良さそうに話をしていました。当時の僕もかなりの頻度で通っていましたが、今よりはるかにポーカーが下手だったこともあってその輪に入ることはできず、ずっと黙ってプレーしていました。
そんな中で、常連さんの一部の人からは、僕のショーダウンを見て鼻で笑うようなリアクションをされたり、「なんでそんなハンドでcallしてるの?笑」と嫌味を言われることもありました。
特に座学をしていたわけでもなかったので、自分の方が間違っている可能性は高そうと思いつつも、当時の僕はかなり生意気だったので「本当にこの人の言ってることは正しいのか?」と疑う気持ちもありました。

そして家に帰ってから、海外のコンテンツやGTO+やSnowieなどのツール・アプリを漁って、嫌味を言われた自分のアクションが間違っていたかを検証しました。すると8~9割はその常連さんの言う通り、自分がおかしなプレーをしていたことが判明しました。
でも、ごくまれに、自分のアクションが正しかったこともありました。それは確固たるロジックに基づいたアクションではなく、何となく直感に従ってとっさに出たアクションだったので褒められたものではありませんでしたが、「あんなに偉そうにしている人にもできないプレーができた」のが嬉しくて、そんなプレーを一つでも増やしたい、偶然ではなく狙ってそんなプレーをしたい、といった気持ちがさらなる座学のモチベーションにつながっていきました。
その後、僕は引っ越しをきっかけにそのお店に通うことがなくなり、その常連さんは「毎週同卓する人達」から「大型大会でたまに見かける人達」になりました。
それからも僕は一人で座学して、一人でプレーする日々を数年続けました。誰にも邪魔されずに、自分のペースで自分の知りたい情報をインプットして、人知れず自分のミスプレーに絶望し、良いプレーに満足していました。すると、大型大会でもその人達を目にする機会は減っていき、気付けばその常連さんたちを見かけることは一切なくなりました。
行きつけのお店が何度か変わり、とあるタイミングでようやく会話をできる人ができました。ポーカーを始めて9年目のことでした。そこから少しずつ知り合いが増え、これまで自分が座学したことについて質問されるようになりました。すると今度は「あいつは偉そうにポーカーの知識を語っているが、肝心の実戦では全く結果を出せない下手くそだ。」といった雑音が耳に入るようになりました。
それでも僕は自分のペースで、自分のしたい座学を続け、自分の出たいトナメに出続けました。その間もずっと、ポーカーに対する好奇心が原動力でした。
その後、ポーカー以外の時間も一緒に過ごすような友人もでき、そんな友人に誘われて海外のトナメに出場するようになりました。海外では、どんなフォーマットが自分に合っているか、どうすれば期待値が増えるか、どうすれば分散が下がるか、賞金額を最大化するにはどこで勝負を仕掛けるべきか、様々なことを試行錯誤するようになり、それに伴って座学する内容も絞り込まれていきました。Final Tableに行って喜んだり、bubble付近で敗退して悲しんだり。そのたびに自分のアクションをツールで振り返り、次に同じシチュエーションが来たらどうするかを脳内でシミュレーションし続けました。多くの幸運に恵まれ、徐々に結果もついてくるようになりました。
そうしているうちに、僕のことを馬鹿にする人は一人もいなくなっていました。
僕がポーカーを始めてから今まで、向き合っていたのは常に自分自身でした。「あの人より上手くなりたい」「あの人を見返したい」といった気持ちはほとんどありません。
「過去の自分を超えたい、以前の自分にはできなかったプレーをしてみたい。」
常に自分にだけフォーカスし続けました。他人のことを考える余裕はありませんでした。

この先、想像もできないようなダウンスイングをくらうかもしれません。するとまた周囲からの雑音が
耳に入るようになるかもしれません。あるいは、知人の目覚ましい活躍をうらやましく思うことがあるかもしれません。それでも僕にできることは、自分と向き合って、自分で強くなることだけ。ポーカーはどこまでいっても個人競技。卓上で自分を助けてくれるのは自分だけ。
でもなぜか、自分にフォーカスすればするほど、仲良くしてくれる友達は増えていきました。ポーカーは不思議なゲームです。
「アミューズのトナメに出ていたら、常連のお客さんからアクションについてあれこれ嫌味を言われたんですが、どうしたらいいでしょうか?」
「たぶん大丈夫。あなたがポーカーを続ける限り、その先には2つのシナリオしかありません。その人達がポーカーをやらなくなるか、あなたが上手くなってその人達に認められるか。だって、この先あなたは今よりポーカーが下手になることなんてありえないですから。」
いよいよアドベントカレンダーも終わりが近づいてきました。
明日の著者は、皆さんご存知Amuくんです。
一体どんな記事を書いてくれるのか、楽しみですね!
(終)

著者|Gaku
Poker / Cash🇫🇮🇩🇪🏴🇫🇷🇭🇺 / MTT🇫🇷🇵🇭🇹🇼🇰🇷 GTOWizard⬇️ / Across the universe.🪐






